油は私たちの身の回りに多く存在しています。例えば、ガソリンや灯油といった燃料、自転車のチェーンや工具に使う潤滑油などは良く知られています。その他にも、各種石油製品として広い範囲に流通しており、様々な業種で使用されています。
はじめに
平成18年3月、環境省から「油汚染対策ガイドライン―油含有土壌による油臭・油膜問題への対応―」が公表されました。このガイドラインは生活環境の保全を目的とし、油汚染に対する調査・対策の基本的な考え方をまとめています。
ガイドラインができるまで
人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として「環境基準」が設定されています。
油に関する環境汚染について、その汚染に含まれる物質や汚染の程度によっては、以下の法令が関わってくる可能性があります。
| 年代 | 法律 | 備考(対象項目など) |
|---|---|---|
| 昭和43年 | 「大気汚染防止法」 | ベンゼン |
| 昭和45年 | 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 (以下廃掃法) |
廃油、動植物残渣など |
| 昭和45年 | 「水質汚濁防止法」 | ベンゼン(健康項目)、ノルマルヘキサン抽出物質とフェノール類(生活環境項目) |
| 平成15年 | 「土壌汚染対策法」 | ベンゼン、重金属 |
平成15年2月に施行された「土壌汚染対策法」では、健康被害を引き起こすリスクとして、油の成分ではベンゼンのみが有害指定項目として設定されました。しかし、「土壌汚染対策法」で規定されている以外にも、「油くさい」、「井戸に油膜がある」など臭いや見た目の不快感といった多種多様な生活環境の影響やトラブルがあったことから、「油汚染対策ガイドライン―油含有土壌による油臭・油膜問題への対応―」が制定されました。
- 「油汚染対策ガイドライン―油含有土壌による油臭・油膜問題への対応―」
環境省[市街地土壌汚染対策]
ガイドラインの内容
本ガイドラインは油汚染対策を進める上での「参考書」という位置付けになっています。
内容としては、油に関わる規制や基準値などは設定されておらず、以下のとおりに進めるのが望ましいとなっています。
ただし、現在ならびに将来の土地利用目的によって実施内容が異なってきます。
対象物質:鉱物油とは?
本ガイドラインでは、今までの環境法では対象とならなかった鉱物油(動植物油を除く)のみを対象としています。よって、汚染を引き起こしている油が鉱物油であるかどうか以下の結果から判断します。
現地踏査
- 油の使用履歴調査
- 油類の使用有無のヒアリング
- 現地踏査による状況確認
- 油汚染状況の確認
- 油の分析
- 油種の確認
油種の確認
要注意!!:ガイドラインでは規定されていませんが・・・・
その他にも、油には有害性が指摘されているPAHs(多環芳香族炭化水素類)が含まれている可能性があり、これらの物質には、基準はありませんが、海外では規制対象となっているものもあります。
(注)PAHsとは、複数のベンゼン環からなる炭化水素で、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ベンゾ(a)ピレンなど、発ガン性、慢性毒性、催奇形性、変異源性などの毒性影響がある可能性が高いものです。
目的:油臭・油膜とは?
油汚染による影響は次の表のように分類されますが、油膜・油臭は②にあたります。
油臭・油膜は人の感覚(嗅覚と視覚)で捉えて評価し、その程度を人の感覚で不快に感じるかどうかで判断します。
| ①人の健康に影響を与える | ベンゼンなどの有害物質※による健康影響(発ガン性、催奇形性など) ※今後、ベンゼン以外にも有害性が認められた物質が加わる可能性があります。 |
|---|---|
| ②生活環境に影響を与える | 油臭・油膜など感覚的に人へ与える不快感 |
| ③土地への影響 | 地盤の軟弱化・支持性低下、植生への影響など |
表:臭気強度の6段階評価
油膜
誰が実施するのか?
土壌汚染対策法では、土地の使用者・所有者または汚染原因者に汚染調査・対策の実施が求められます。
本ガイドラインでは土地の所有者に実施を求めています。
例えば、土地Aで油汚染があり、土地Bまで汚染が拡散した場合、土地Bの所有者は調査対策を実施する可能性がでてきます。
記録の保存
汚染の経緯、調査の方法・結果、浄化対策の方法・結果、関係者・行政担当部署との協議内容、これらの経過が分かるように記録して保存します。
- 調査:
- 調査対象範囲、調査の内容(分析方法・結果)、調査結果から判明した汚染状況の判断を記録
- 浄化対策:
- 対策方針、浄化対象範囲、対策調査の内容・結果、浄化対策の内容・結果(汚染土壌を除去した場合は、どこでどう処理されたかも含める)を記録
土地利用
現在または今後の土地利用形態によって対策内容が異なってきます。
- 公園など子供が遊ぶ環境として使用する。
- 住宅地(特に戸建)として使用する。
- 工場などとして使用する。
公園などで人(特に子供)が寝転んだり遊んだりする場所として使用する場合、その土地に油臭・油膜が生じる汚染土壌がない状態にしておく必要があります。
- →浄化(除去)が望ましい

住宅地として使用する場合、人がその土地に居住し、将来、土地改変の可能性もあるので、地表面に油臭・油膜が生じる汚染土壌がない状態にしておく必要があります。
- →浄化が望ましい

市街地や工場など、通常は舗装した上で土地を使用する場合、人が油臭・油膜を感じないように汚染を遮断することによって改善可能であれば除去する必要はありません。
- →汚染の拡散に配慮する必要がある

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- 油汚染対策ガイドライン
- ガイドラインに基づくDOWAエコシステムの提案する調査
- DOWAエコシステムの提案する対策

